しかしその期待は外れてしまった。


しかも、悪い方向に──…





「──…っアレン!」




ほぼ叫ぶような、そんな声。


切羽詰まったその声色に何ごとだと振り向けば、びしょ濡れになったイルがそこにいた。

きっと外の雨に濡れたのだろうが、子供も連れずに何をしているんだとアレンは驚く。



「イル?…風邪引くぞ」

「アレンっ…」


イルの泣きそうな表情に更に訳がわからなくなった。

とりあえずそのままだと冷えるだろうと、「乾かせよ」とだけ言っておく。



「そんなことどうでもいいのッ!」


しかしイルはブンブン濡れた頭を振り、それから走り寄って来た。

面食らって後退りしたアレンに飛び付いて、必死に叫ぶ。


「レイが…!」

「………え…?」


固まるアレン。


イルのただ事ではない様子に、嫌な予感が頭をよぎる。


そしてそれは当たっていた。








「レイが…、レイがいなくなっちゃったのよ…っ!」








それは、終わりのはじまり。



彼らは全てを覆す真実へと、知らず知らず導かれていく──…