「うわぁ~、城だ!白だ!!真っ白だ!!!」
ユーリは城に入った途端、怪我人のくせにめちゃくちゃはしゃいで走り回り出した。
…怪我と言っても膝に擦り傷が出来たくらいだが。
見た目12・3歳の子供がそうする様子は、マケドニスとレイには微笑ましく見えたがアレンには幼すぎにも見える。
「あんまはしゃぐなよ、コケて怪我増やす羽目になるぞ。
ほら、そこが医務室だ」
廊下の先にその部屋が見えると、マケドニスがニコニコ大人な笑みを浮かべながらユーリに言った。
言われたユーリは更にはしゃいでそこへ一直線に突っ走る。
「失礼しまーす!」
大きな声を出しノックもきちんとしたユーリは、アレン達は待たずにその白い扉を開けた。
続いて中に飛び込むと、周りを見回し目を輝かせぎゃあぎゃあ騒いで感動する。
しかし、それも束の間。
「………医務室では、し・ず・か・に!!!!」
そんな怒りの籠った声と共に、──何だか危なそうな薬品が入った試験管が飛んできた。
ギリギリかわせたユーリが目を見開きに見開いてそちらを見ると、怒りに怒った美人医師様が自分を睨んでいるのが見える。
くすんだ金髪を跳ねさせビビったユーリは、直ぐ様壁に背中をくっつけクナルから避難した。


