「………あぁ、親…」
忘れてたとでも言いたげな表情を軽く覗かせるアレン。
彼はまた子供に目を移し、腰を落とすと顔を覗き込んだ。
それから出来る限り優しく頭に手を置き、口を開く。
「…お前、名前は?」
子供は何故かむっつりとした顔をしていたが、そう訊かれるとアレンを見上げた。
「………ユーリ」
呟くように言うと、くすんだ金色の髪を弄る。
そうしたことで、横でまとめたそれが小さく揺れた。
「ユーリ、か。親はどこだ?」
子供──ユーリの態度に少しばかり苛ついたが、それを微塵も感じさせず優しく訊くアレン。
ユーリはアレンを見てからレイ、マケドニス、大勢の国民へと順番に目を向け、最後にまたアレンを見上げると首を左右に振った。
「………いないよ」


