「アデル…」


無言で佇む妹に、ハルアは苦笑いする。


「そうよね。あの国を出れただけでも十分!わがまま言ってても始まんないわ」

「……じゃあ、ノスラムシティでいいか?」

「ええ。いいわよね?」


ハルアは四人を見渡し確認をとった。

もちろん皆頷いて拒否はしない。


それを見届けたアレンはマケドニスに目配せし、無言の命令を受け取った側近は足早に医務室を出た。

きっと手配にでも行ったのだろう。



「住むところの準備が出来るまではここにいたらいいから」

「ありがとう。何から何まで…」


レノディアが微笑み礼を言う。

アレンも表情を少し緩めたが、そのわりに「別に」という素っ気ない返事だった。

気にしていないのかレノディアはそのまま笑みを始終浮かべていたが。



「お前らもノスラムシティだからな」

「うん」


話を聞いていたグロアとルネは大人しく了承した。

グロアは悪魔のしたことを聞いて落ち込んでいたが、相変わらずなルネに「気にしたって意味がないわ」と言われ立ち直る。


やはり単純。

ギルクみたいだとアレンは思った。