クナルに呼ばれたマケドニスに担がれながら、アレンは長い長い溜め息をついた。

側近はというと、こちらも医務室を脱走した主人に怒っていた

…のだが、彼を見つけた状態が悲惨だったので今は同情中。


「アレン様。本当に、身の安全の為にも大人しくしていた方が…」

「………いやだ。ひま」

「子供か」


厳しいクナルのツッコミ。

アレンは諦めてマケドニスの背中でぐったりしておいた。

本当に暇で暇で仕方ない。

ていうかベッドに寝てる状態がジスカルでずっと続いていたから、正直それが嫌だ。


「しょーがないわねぇ。そろそろ面会許しましょうか。逃げれるくらいには回復したみたいだし」

「……元から動ける」

「よく言うわ。船に乗った途端にこの馬鹿とダウンしたくせに」

「馬鹿ってなんだ馬鹿って」

「船酔い馬鹿よ」

「うるさい鬼医者!」


途中から何故か夫婦喧嘩。

ぎゃあぎゃあ喚く大人二人にアレンは密かに眉を潜めた。

うるさい。うざい。


そしてそんな三人を、城の人達は苦笑しながら見送る。



「おかえり、アレン」


医務室に入った途端、ニヤニヤしたグロアにそう言われた。

グロアは一応診察してもらったルネの付き添いでここにいる。