「…………悪魔、か?」
確かめるように呟いたアレンに、その人物は鋭い視線を投げかけた。
アレンは意味がわからず眉を潜める。
「……ここに天使と悪魔の二人組がいるだろう」
──…目の前の悪魔が喋った。
低い声がしんとした広間にやけに響く。
その質問に首を微かに傾げ、アレンはわからないということを示した。
だいたい天使と悪魔の二人組など、そう滅多にいないものだ。
それらはお互い忌み嫌っている種族。
くっつくことはまずない。
──…一組だけ、例外の思い当たる節はあったが。
ここに今いるのかもわからないし、あからさまに敵対心むき出しなコイツに教える必要もない。
そんなことは露ほども感じさせないアレンの反応を見た悪魔は、残念そうに頭を横に振った。
そして。
「………そうか。わからないか。
なら力ずくで見つけ出してやる」
──…そう言うと、右手を後ろに回し何もない空中からどでかい矛を取り出した。
剣の側面で自分を押さえつけるアレンに向かい、それを突き出そうとする。


