《…今日は俺の即位二年記念式典にお集まりいただき、ありがとうございます。》
──…これがアレンの第一声。
本来『俺』という言葉はこういう正式な式典では使うべきではないが、アレンは特に気にする様子もなく話を続けた。
そんな様子が国民にも親近感が持てると好評だったり。
《…正直、二年経ったなんて信じられない気持ちです。
成人すらしてないし、まだまだ未熟な俺だから。
皆さんに迷惑かけたこともあったと思うし、これからもそうなるかもしれない。》
──…これが国民に向けるアレンの本心。
ありのままの気持ちを彼は話していた。
その証拠に。
「………アレンさ、原稿持ってなくない?」
「あ、……本当ね」
話す彼の後ろでコソコソ喋るイルとレイ。
アレンは普通なら用意する原稿を出していなかった。
視線はひたすら広間の国民へ。
美しい澄んだ碧の瞳に見つめられる国民は、水を打ったように静まり返り、彼を食い入るように見上げている。


