「…うわ」
「どうしたの?」
あからさまに嫌な顔をして顔を引っ込めたアレンに、天使のミュリエルが不思議そうに首を傾げた。
そんな彼女にルティは、
「アレンは人が多いの嫌いなんだ」
と苦笑いしながら教えてやる。
ミュリエルは天然なのか、へぇ~とアレンを見つめ何故か感心していた。
待機中のアレン達がそんな風に喋りまくっている中、不意に聞き慣れた声が魔法で拡大され耳に届く。
《10時になりました。式典をはじめます》
それはすっかり気に入ってしまい、毎回司会役になるシリティーの声。
今頃警護をしているコニスは騒ぎまくっているだろう。
「あ、行かなきゃ駄目みたいよ」
「…めんどくさ」
「こらアレンそんなこと言うんじゃないっ」
「ルティったらお母さんみたいね~」
「いやそこはお父さんじゃね?」
……やっぱり緊張感がない。
そんな彼らが合図を出されバルコニーに出ると、予想した通りの大歓声が。
耳をつんざくどでかい声に、アレンは眉根を寄せ嫌がった。
「……耳痛ぇ」
「アレン、しかめっ面だけはやめて」
「…………。」
レイに注意されアレンは仕方なくそれをやめたのだった。


