レヴィオルストーリー3


「ねぇ、グロア」


「なぁに?姉様」


姉の動きを追っていた少女は、声をかけられ顔を上げる。


その大きな瞳には、真剣にアレンを見つめる女性の姿が映し出されていた。




「……これ、綺麗よね」


「? うん、かっこいい」


そこまで言ってから何かに気付いたのかグロアはハッとし、少し頬を赤くする。


…彼が起きていることを忘れていた。



しかしそんな妹の様子に気付くことなく、ディルネは苦笑する。



「あんたって子は…素直の塊ね」


「それって褒め言葉ッ!?」


「はいはい、そうよ」



目を輝かせ言った妹に、またも女性は苦笑した。


えへへと笑った少女は、「で、綺麗なのがどうしたの?」と話を元に戻す。



ディルネは頷くと相変わらずアレンを見つめ、そして艶やかな唇を動かした。




「…綺麗で、強いの。いわば今の私達の秘密兵器。

天使達を倒してからも、手放すのは惜しいと思うのよね」


「……………………。」



今度はグロアが醒目した。



姉の表情が、とても――恐ろしいモノに見えて。



笑っている、笑っているのだが、その目は危険な光を孕んでいる。



思わずゴクリと唾を飲み、グロアは何も言えず立ち尽くした。