そんなレイはギルクが去っていった扉から、早速食べ物にありついているアレンへと目を移した。
それから彼同様に朝食を食べながらもこう訊ねる。
「アレン、式典の後は何か用事はあるの?」
こうやって予定を訊ねるのももうほぼ日課となっていた。
アレンは早くもトーストを食べ終わり、デザートに出たカキを頬張りながら頭を縦に振る。
「ひょくひかい」
「…食事会、ね。わかったけど食べながら言わないでちょうだい」
「ん」
素直に頷いたアレンはデザートもたいらげ、今度は温かい紅茶を飲み出した。
何とも忙しい朝食である。
「…ふぅ。あ、そういえば食事会ってレイもだよな?」
「えぇ、そうよ。ねぇアレン、あんまり早く食べすぎると体によくないわ」
「…え、そうなのか?」
初耳とばかりにアレンは目を見開いた。
見開いた、と言ってもあまり表情に出すタイプではないので、ごくわずかな変化だが。
「そうよ。ゆっくりきちんと噛んで食べるのがいいんだから」
「ふーん…」
感心する勇者。
紅茶はいつものようにゆっくりと飲み、彼はきちんと噛む派のレイが食べ終わるのを待つことにしたのだった。


