今度は赤くなって放心しだしたラヴァネに、ミュリエルは困った顔をした。


この男、仕事は出来るのだがこういうところが抜けている。



…まあ俗に言うヘタレである、というワケで。




「ほら、ミカエル様が呼んでるんでしょ?行かなきゃ」


「う、うん…。あ、ミュリエル」


手を繋いだまままた話しかけてきたヘタレに、ミュリエルは再度振り返った。


そして、長身な彼の真面目な顔を見上げかなり面食らう。



「な、なぁに?」


「…さっき、どこを見てたんだい?」


「…………………。」



いつになく真剣な幼なじみ。


そんなラヴァネの問いに、ミュリエルは気まずそうに目を逸らす。




「レヴィオル国を見てたの?」


「こんなとこから見えないわ」


「でも西の方角だった。あっちにはレヴィオル国しかないよ」


「…………………。」



全く、ヘタレのくせに変なところで鋭い。



溜め息をついて負けを認めたミュリエルは、小さく頷き視線を落とした。



それを見たラヴァネも悲しそうに彼女を見下ろす。