「あ、レイ。ちょっと」



――…エフィア一家宅に来て四日目、火曜日の朝。


予定は月曜日だったがアレンの例の用事の為に延長し、今日が母国に帰る日となっている。


遊びまくって満足した子供たちと休みまくって満足したアレン達は、自国に帰る準備をしていた。



その最中にレイを呼んだアレンは早々と荷造りをすませ、最後に歯ブラシを突っ込み彼女を引っ張って行く。




「なぁに?おはよう、アレン」


「ん、おはよ」


軽く挨拶を返し、アレンはある程度みんなから離れるとレイと向き合った。


にこにこと見上げる彼女はもう何を言われるかはわかっているらしい。



「…誕生日おめでとう」


「ふふ、ありがとう」


やっぱりね、そう心の中で思ったレイは嬉しそうにはにかむ。



そんな彼女に表情を崩し、微笑んだアレンは細い体をぎゅっと抱き締めた。


されるがままのレイはぬくもりの中で幸せそうに目を閉じる。



それを見下ろしたアレンは、優しい表情のまま囁いた。



「用が終わったら、すぐに聖堂から湖に行くから。ちょっと待ってて」


「…ええ」


「あと、これプレゼント」



その言葉に瞼を上げたレイは、アレンが差し出した物をじっと見つめた。


高そうな淡い水色の綺麗な髪飾り。


受け取ると早速つけてみる。