アレンは自分の魔法の自慢をしだしたルルアンを適当にあしらいながら、この部屋の家具を見た。


エルフの森の木で作ったのであろう、木材製の暖かな雰囲気を出すそれら。



その一つ、ルルアンとルルの遊び道具をしまってある棚を見て、青年は固まった。



――…正確には、棚の上にある写真たてを見て。




「…………………。」


その写真たての中には、当たり前だが写真が飾ってあった。



結婚式の衣装を着る今より若いエルフの夫妻と、曖昧な色の髪をした青年が写っている。


その藍色の瞳の青年の満面の笑みは、滅多に見せないアレンのそれにそっくりだった。




――…そういえば、ここの夫妻は父さんと知り合いだったんだっけ。


いや、写真を見るかぎりだと知り合いではなく友達か。



それを見つめながらぼんやり考えるアレン。



自分の話に反応しなくなったアレンに気付いたルルアンは、振り返って彼を見上げた。


そしてその碧の瞳の視線の先を辿り、彼が何を見ているのかを悟る。




「…あ、アレン?」


「…………………。」


「アレンってば」


「………………ん?」