「ひぁあ~っ!ふぁへんのふちふふぁぎ~っ!!」
(※きゃあ~っ!アレンの口塞ぎ~っ!!)
そんな風に口を塞がれたまま騒ぐリルムに笑い、やっとアンナは中に案内してくれた。
旅行メンバー+ルティという大勢なのだが、二手に分かれリビングとドアがスライド式の隣の部屋に入る。
入ってから、アンナは部屋のドアを抜き取った。
これで広いリビングの出来上がり。
「主人はもうすぐ帰ってきます。それまでしばらく待っててくださいね」
アンナはそう言って微笑むと、まだ顔色が悪いマケドニスに水を渡した。
すみません、と呟くマケドニスは早速それを口にする。
アレンはそれを見ることなく苦笑いした。
「いい加減船酔い治せよな…」
「そんなこと言われても…。小さい時から無理なんで、駄目なもんは駄目です」
「…めんどくせー体質」
呟いたアレンにマケドニスはうるさいですね、と憤慨した。
勇者はそんな側近に笑う。
そしてそれを嬉しそうに見つめる、引きつり笑いのなくなった恋する乙女。
…最近はこれが一定パターンになっていた。


