「アレ~ン!レイお姉ちゃ~っん!!マケドニスぅ~っっ!!」
――…ダダダダダダダ、と凄まじい音。
そんな音を引き立てながら、ルルアンは廊下を一直線に駆けてきた。
そうしてルルと戯れている一番近いアレンにダイビングする。
「うわっ!」
「ひっさしぶりぶり~っ!!」
いきなり飛び付かれて驚いたアレンにルルみたく摺り寄りながら、ルルアンは満面の笑みを見せた。
…喋る言葉がイルっぽいのは気のせいだろうか。
10歳になったエルフの子供は、すっかりやんちゃ坊主に育っていた。
そんな彼に黒髪の彼女がちょっかいを出す。
「ちょっとルルアン~!あたしのアレンに抱き着かないでよっ!!」
「ぅわっ、リルム!それまだ言ってんの!?」
「ぅわって何よ、失礼ね!事実なんだからっ」
「僕はもうそんなんじゃないもんね~っ!成長したんだよ!ね、レイお姉ちゃん!!」
「えっ?」
会って早々喧嘩をはじめた二人を眺め苦笑していたレイは、話を振られてかなり驚いた。
そのまま苦笑いを続行して流そうと頷く。
――…すると。
「あたしのが年上だしっ!オバサン、適当な返事しないでよ!!」
「…………………。」
レイの苦笑いがひきつった。
それを見たアレンは慌ててリルムの口を塞ぐ。


