「酒…」


「目覚ましに飲むか?」


「…うん」


いつもより低い声で答えたアレンは、椅子に座るとルティから酒を受け取った。


ぎゃあぎゃあ叫ぶ子供を眺め、無言でそれを飲む。



「誰に起こされたのじゃ?」


「……レイ」


「なんと。それなら何故そんなに不機嫌なのじゃ」


「…マケドニスにつきっきりだ」


その返答にその場のアレン以外はにやりと笑った。



レイは多分自分がマケドニスを看ているのに横で爆睡するアレンに、少しばかりムカついたのだろう。


そこで起こしてみたが、またマケドニスが吐きそうになった。



大方そんなところだろうと思った大人達。



そしてそれは見事に当たっている。




「あ~、眠い…」


「アレンはいつもそれじゃのう」


「……昨日執務に追われてて…」




「アレ~ンっ!!」




勇者が話す言葉は途中で遮られてしまった。



呼ばれた彼が顔を上げると、満面の笑みの子供らが自分に手招きしている。



「…………………。」


「遊んで、ですって。どうする?」


ニヤニヤしながらメイは言った。


アレンは溜め息をつくと立ち上がって子供達のいる船首の方へ向かう。




「何だかんだ言って優しいやつだなぁ」


「アレンはそういうやつじゃ」


何故か自慢げにメディンが言い、大人達は子供の集団に一人だけ入った青年を見やりクスクス笑った。