またまた素直に感情を顔に出したギルクは、不思議がるアレンを見て少し申し訳なさそうにした。


「そのイルのことなんだけどよぉ…。あいつ、トウキシティで生みたいんだとよ。

やっぱり故郷でお互いの家族にも赤ちゃんを見てほしいからって…」


「…へぇ。たまにはイルもまともなこと言うな」



もうすぐパパの親友の話にアレンは少し関心した。


そしてやっぱり、イルももうすぐ二児のママ。



あのイルが母親になるなんてな、とアレンは密かに小さく笑う。



「そんでいてほしいって言ってくれたのに悪いんだけどよ、もうちょいしたら一旦トウキシティに帰りたいんだ。
まずイルが帰ってから、お産が近くなったら俺も…。

これって無理か?」


ギルクはアレンの顔色を伺いながら、ちょっと心配そうに訊ねた。


一応七帝も勇者であるアレンが雇っていることになっているからだ。


しかしギルクの場合は、自分達がいなくなることでアレンの仕事が増えるんじゃないかということの方を心配していた。



それがわかったアレンはギルクを見上げ小さく口角を上げる。