「…俺は、いてほしい。
武帝としても、親友としても」
そう囁くように答えたアレンに、ギルクは嬉しそうな笑みを見せた。
素直すぎる反応のそれにアレンは苦笑する。
「…こんなこと言うの今回だけだからな」
「わかってる。お前はほんといい親友だぜ」
アレンの照れ隠しにそう返したギルクは、親友の答えに満足したのか突然その上半身を起こした。
寝転んだままのアレンを見下ろし、強い瞳で宣言する。
「俺は、どっちもやりたいんだ。どっちかなんて決められねぇ。
それが俺の答え。だから俺は両方する」
「……修行もあるのに。大変だけど?」
「それでもやる。一回決めたことは曲げねぇ!」
強く言い放ったギルクに、アレンはその目をゆっくり向けた。
――…ぶつかる碧と漆黒。
それからしばらくして、…碧の瞳は優しくなった。
「…わかった。ギルクが自分で決めたことには口出ししない。
イルには言ったのか?」
「いや、まだだけど…。帰ったら言う。あと…」
最初こそは安心したような表情だったものの、ギルクはまた少し不安げな顔をした。
それに対してアレンは彼の様子に不思議そうな顔をする。


