アレンのその問いに、訊かれた本人はぱちぱちと余分に数回瞬いた。
その後自分はニッコリ笑い、頷いて拳を突き出す。
「おぅ。体動かしたらスッキリしたぜ!
ありがとうな、アレン!!」
「…どういたしまして」
ギルクの返事にアレンは柔らかく微笑んだ。
そうしていたのだが、嬉しそうな親友に今度は真顔になって言う。
「で、何をそんなに思い詰めてたんだ?」
「………………。」
――…ギルクの笑顔が固まった。
それをわかっていながらも、アレンは彼を見据えて目を逸らさない。
ギルクはそんな自分のことに真剣になってくれるアレンを見て、溜め息をつくと力なく笑った。
…なんだかギルクらしくない。
そう思い眉を潜めたアレンに、ギルクは事の真相を話し出した。
「…いや、今日の記念式典に親父も来ててよぉ。そんで話した時に言われたんだ。
そろそろ街長を継ぐ気はないかって…」
「………………。」
――…来たか。
アレンは真っ先にそう思った。
ギルクはトウキシティの街長の息子。
街長は勇者とは違って家系で継ぐから、こういう話がいつか来るんじゃないかとは思っていた。


