「…あの、お気持ちは嬉しいんですが。最近は忙しいので…」


アレンがそう遠回しに断ると、ジリルは残念そうな顔をしてそうか、と呟いた。



大体自分の国はそれどころじゃないんじゃないかとか思ってしまうアレンとマケドニスだが、それを言えるわけもなく。





――…沈黙がその場を支配する。





「…………………。」

「…………………。」

「…………………。」


…シーンとしていて、なんだか気まずい雰囲気。



心の中で嫌がるアレンらを他所に、ジリルは何か一人で考え込んでしまった。


そういえば側近も何も連れていないな、とマケドニスが少し辺りを見渡す。



すると部屋にあるシンプルな時計が目に入った。





「…アレン様、そろそろ時間ですが」


「ん?あぁ…」


ついには自分も考え事に耽っていた(逃げていた)アレンは、マケドニスのこの神の一言に今までにないくらい感謝したとか。



一瞬目を見合わせ無言の合図をして二人で立ち上がり、合図には気付いていないジリルもそれに倣う。




「忙しい時にすまなかったね。時間を割いてくれてありがとう」


「いえ。何もおもてなし出来なくてすみませんでした」


「いいや、十分だ。それじゃあ」



そんな軽い挨拶をかわし、ジリルは一回会釈すると部屋を出ていった。



緊張から解放されたアレンとマケドニスは思わずその場のソファーにまた座り込む。