そしてそれから何日か経ったある日…。
相変わらず少しずつしか話せない私が、まさか再び告白に挑むなど出来るはずもなく…
この日は技術の授業の補習で、大半の生徒が遅くまで残っていた。
11月といえど、もうすぐ冬。
空はすっかり暗くなっていた。
終了時間が決められていたのに私は支度に手間取って、
だいぶ遅れて教室に荷物を取りに行ったら…
『…藤井!?』
電気がついてない暗い教室の中に、藤井がいた。
藤井も荷物を取りに来ていたらしく、ロッカーで整理をしている。
『こんな真っ暗の中で…怖くないの?;』
平静を装いながら、私も教室に入る。
「…やっぱ気になるんだけど」
ふと藤井が呟く。
『…やっぱ気になる?』
「気になる」
間髪入れずに言われる。
『なんで気になっちゃうの…;』
時間がないことと緊張とで、私は何を言っていいのかわからず、焦っていた。
「気になるだろ普通に」
『んー…;』
(これって最高に告白のチャンスだよね?でも早く学校から出ないと怒られちゃうし、下で未和たちが待ってるし……あーもう!;)
つくづく運が悪い。
『…ごめん今時間ないから、今度また聞いて!;』
…と、言ってしまった。
その後2人で下駄箱に向かう途中、藤井は何回か、
「あーあ気になるー」
と言っていたが、
『今度だってば!;ほら時間ないんだから急ご!;』
そんな風に、またもやチャンスを逃した私…。


