だけど私は臆病者。
直接渡す事が出来ず、チョコを笠原の鞄に忍び込ませて、そのまま帰った。
そして次の日………
「笠原、チョコ捨てたってよ」
『………え?』
教室に入るなり、男子にそう言われた。
「チョコなんて嫌いだって言ってたぜー」
近くにいた男子が、それを聞いて笑っている。
何なんだろうこれは…
周りを見れば、数人の男子が笑っている。
…そうか、こいつらは私が笠原にチョコをあげたことを知っている…
ということなんだ。
……でもどうして…?
チョコを捨てたって…
「あっ、笠原!保坂来たぞ!」
「…………お、おう」
どこかから戻ってきた笠原が、気まずそうに私を見る。
「鞄に入れておくなんて保坂も大胆な事するよなー!笠原は何も知らないでオレらの前で袋開けたんだぜ!」
『……………』
気づいてしまったんだ…
私は、笠原が家に帰ってから気づいてほしかった…


