何度失敗しようが、手作りで渡せばよかった。
あんな顔を見ることになるなら、徹夜になったとしても、頑張ればよかった。
…あんな寂しそうな笑顔は、今までで初めて見た…。
『…ご、ごめんね』
「いーよ別に!さすがに売ってるもんだからうめーな!」
『…どういう意味よそれ…//』
笑いながらクッキーを3枚あるうち1枚食べて、箱をしまった。
「それよりゲームやったか!?」
『あ、うん!ずっと女の子キャラ使ってやったよ!』
そんな風にゲームの話で盛り上がって、私たちはバイバイした。
笠原は本当にイイヤツだ。
約束を破った私に、ガッカリしたと思う。
それなのに、笑って許してくれた。
こんなことになるなら、頑張ればよかった。
たとえ不味くなっても、笠原は優しいから、きっと笑って食べてくれただろう。
…あんな寂しそうな笑顔、しなかっただろう。
…私の馬鹿…。


