その噂が気になりつつ、季節は秋になった。
噂が流れながらも、笠原はまったく動じず、私に話しかけてきては盛り上がった。
私は相変わらず女子に嫌われていて、
笠原と話すことで、楽しむ事が出来ていた。
それは、不思議な気持ちだった。
あの給食の時のように、私が孤独だと感じた時笠原は、
まるで心を読んだかのように現れた。
現れては助けてくれた。
何を言うでもなく、ただ笑顔をくれた。
つられてこっちまで笑顔になるような、
明るく無邪気で、すべてを包み込むような笑顔を。
ただそれだけで、私は救われていた。
大事な大事な、友達。
それは親友のような、
兄弟のような、
家族のような、
救世主のような。
私にはない部分を持った、
もう1人の自分のような。
そんな、不思議な気持ち。


