奇跡的に体育館に着いた時には部活はとっくに終わっていて、

鉢遭わせた朋代に酷く怒られた。

だけど私には何にも聞えてなくて

私の目には未だ

風に揺れる茶色の髪と

薄い唇に長い人差し指を当てた、彼の、

氷室君の妖艶な笑みだけだった。