「えっ?」
私は聞き直した
「屋上から見る空って
こんなにきれいなんだ」
男の子が嬉しそうに言う
私もまた空を見た
「また・・」
男の子がそう言いかけた時
―キーンコーンカーンコン
チャイムが鳴った
「ちっ、もう鳴っちまった」
男の子が残念そうに言い
立ち上がった
私はその後ろ姿を見つめていた
「行かないの?」
後ろを振り返り男の子が
聞いてきた
私も慌てて立ち上がり
後を追う
「あ、そうだ!?」
男の子が振り返り私の
ほうを向いた
「この空は俺たちだけの
秘密ね!」
男の子は無邪気な
笑顔で言った
こんなにも嬉しそうに
笑う人を初めて見た。
そしてこの出会いが
私の人生でかけがえのない
宝物をくれた
