小さな明かりを1つだけ灯す。
薄暗い部屋に温かさが蘇る。
手際よく博貴の服を鞄に詰めていく章大。
壁に身を預け座りこむ隆平。
博貴は章大に隠れながら隆平の姿を見つめる。
   

「ほな。博貴行こうか。」


博貴の手を繋ぐ章大。
   

「兄たんは?」


心配そうに章大を見上げる。

   

「嫌や。兄たんとおる。」



章大の手を振り払う博貴。
   

「博貴。お兄ちゃん。少し調子悪いんやって。博貴がおったら休めひんやろ?」


博貴の目線に合わせるかのよう博貴の前にしゃがみこむ。
   



「一緒やもん。一緒やもん。」




涙を必死にこらえようとする博貴。
   

「調子ようなるまでやんけ。博貴はええの?お兄ちゃんが調子悪いままでも?」
   
「嫌や~。」


泣き出す博貴。
   


「せやろう。やったら少しの間、離れても我慢しような?」



頷く博貴。
   


「ええ子やな。」



微笑かける章大。
博貴の頭をなでる。