夜風がカーテンを揺らす。
時計の針が午前2時をさそうとしている。
静かな部屋の中 鳴り響く携帯の音。


着信 隆平


寝ぼけた姿で手だけが携帯を探す。
   

「…もしもし…。」


かすれた声で携帯に出る章大。
受話器越しに聞こえる博貴の泣き叫ぶ声。
一気に目を覚ます。
   



「もしもし。隆平?」



慌てた声。
   



「…こんな…時間にごめん。」




低い声。
その声は微かに震えて聞こえる。
   

「別にええよ。それよりどないしてん?博貴泣いてるで。」
   
「頼みたいことあるねん。」