嵐のように降り注ぐ雨。
荒れる海。
波が岩をのみこんでいく。
よちよち歩きの博貴の手を握り崖へと近づく。
「椎名。」
女の名前を叫ぶ隆平。
振り向く椎名。
「ごめん。うちやっぱりあの人やないとあかんねん。せやから止めんといて。」
隆平に向かって叫ぶ。
「アホなこと言うなや。博貴がおるやろう。…博貴まで…連れていくんか?」
大声を出す隆平。
戸惑う椎名。
博貴へと目を向ける。
何もわからず無邪気に笑っている博貴。
「博貴。ごめんな。こんなダメな母親で。」
博貴を抱きしめる椎名。
「ダメやんかやない。これからやろ?」
椎名の下へと歩き出す。
「こんといて。うちは決めてん。あの人のいない現実に生きてる意味ないねん。」
泣き叫ぶ椎名。


