「…む…無理だよ。」




ボソりと呟く那智。
   
「何でだよ。」

那智の肩に手をかけ自分のほうを向かす。
   

「何でだよ。」


涙に濡れた那智の顔。
   


「あの時のままの気持ちではおられひん。やり直してもきっとまた別れが来る。せやったらこのままのほうがええやろう。」



仁の腕を振り払う那智。
   




「また別れが来るって何でいえるんだよ。」





辛そうに歪む仁の顔。
   

「仁は変われひん。うちとより戻してもまた同じことを繰り返すはずや。女好きな性格はそんな簡単に変われひんねん。」


泣き声。
拭っても拭っても流れてくる涙。
   

「変われるよ。お前のためだったら変わってみせる。もう二度お前の泣いた顔なんて見たくないから。」


携帯を取り出すと女の名前のメモリーを消していく仁。
   




「仁。」





驚く那智。
   


「もう一度チャンスをくれないか?」



那智を抱き寄せる仁。
声を殺し仁の胸で泣く那智。