日が傾く時間。
オレンジ色に染まる空。
薄暗い光に照らされ地面に横たわる忠義と空。
空が忠義の手を握る。
   
「どうしたん?」

空に目を向ける忠義。
   
「ううん。何でもない。」

笑みをこぼす空。
   
「何ねん?ヘンなやつやな。」

空をギュッと抱き寄せる。
   

「幸せやなって思ってん。ただそれだけや。」


赤く染まる頬。
   


「幸せ?」



「そうや。生きてる気がすんねん。」


上半身を起こす。
   





「ここにくると生きてるんやなって。」







両手をあげ伸びをする。
   

「何やそれ。」


忠義も上半身を起こす。
   






「後何回ここで忠義と会えるやろうか?」







忠義から夕日へと目線を変える。
   
「急にどうしたん?」

空の言葉に動揺を隠せない忠義。
   

「べつに。ただ…。」


口ごもる空。
   
「ただ?」
   


「うちは忠義の何やろうって。」



忠義を見つめる空。
驚いた表情の忠義。
   
「嘘。冗談。今のなし。」

悪戯に笑いをこぼす空。