薄暗く曇りゆく空。
今にも泣きそうな顔をしている空の下。


ポチャン。


川辺に座り石を投げている章大。
ぼんやりと沈む石の行方を見つめている。
   
「わりぃ。呼び出して。」

後ろから声をかける仁。
   
「別にええよ。どうせいつものことやろ?」

呆れた表情の章大。
   

「どうせ那智のやつが泣きついたんだろう。」


章大の隣に腰をおろす仁。
   
「別れたんやって?那智、言ってたで。お前もええ加減しいや。」

説教がしたい訳でなく口から出る言葉。
   
「分かってる。」

いつもの俺様態度とは違い
肩を落とす仁。
   

「せやったら何でなん?」


静かだが強い口調の章大。
   

「わかんねぇよ。あいつ見てると時々ウザイって思ってしまう。重いんだよ。那智の愛情。」


目を伏せ話しだす。
   

「そんなの最初から分かってたことやろ?せやから言うたやないか。半端な気持ちやったらやめとけって。」


感情を隠し責めるような言葉を並べる。