「うちとおったら仁をダメにしてしまうから。」


章大から視線をはずし目を伏せる。
   

「どういうことや?」
   
「仁に無理させてまう。うちのために今までの女の人と縁を切ってくれたこと。ほんまはむちゃ嬉しいねん。そこまでうちのこと思ってくれてることが。やけど女を切ってくれたことで仁の全ての時間が欲しくなる。束縛したくなる。」


早口に話続ける那智。
   


「それって当たり前のことやろ?」



口を挟む章大。
   

「そうなのかな?束縛してしまうってことは普段の仁らしさが無くなっていくってことやろ。仁に無理させて…仁が仁で無くなってしまう。全てが嘘で塗り固められてしまう。やからそうなる前に別れを選んでん。仁のこと愛してるから…愛してるから別れてん。愛してるから仁を壊さんうちに別れてん。」


泣きながら話す那智の肩を優しく抱きしめる。