あいつの犬〈短編〉




 


あたしって不運の神様なんじゃない?
もうちょっとすれば晴来てくれるかな?



「 晴っ…! 」

「 早く〜! 」

「 いやだ!…誰かあーっ!! 」



自分の体力を全て使い果たす勢いで思いきり叫ぶ。ここまで大きな声だせば誰か気付いてくれるよね?


「 チッ 」


男もまずいと思ったのか、あたしの体を押してどこかへ走って行った。



「 いったあい… 」



男に押され、そのまま階段におもいっきり転んだあたしの膝やひじは、擦れたり血が出てたりしていた。







「 未弥! 」

「 遅いよ馬鹿! 」



痛さと驚きのせいで涙目になっているあたし。
焦った表情をしている晴を睨みつけた。