あいつの犬〈短編〉




 


赤くなった顔を両手で押さえながら、早い心臓を落ち着かせる。
そういえば、晴心配して来てくれたんだよね…?

そう考えた瞬間また心臓が大きく鳴り始めた。



「 ねえ、なーにやってんの〜? 」

「 は? 」



晴とは違う男の声が聞こえ、反射的に嫌な顔をして目線だけ向ける。




「 今1人〜?あ、休憩中とか?? 」



いかにもチャラそうな男が楽しそうに話している。
……………うざったい。



「 人待ってるんで 」

「 ははっ、そっかそっか!ねえ、遊ぼーよっ 」

「 …………はあ? 」



あたしの話しを聞いてるんだか聞いていないんだか、全くのスルーであたしの腕を引っ張る。

………良くある強引なナンパか。




「 やめてよ 」

「 いーじゃん! 」

「 良くないから言ってんの! 」



声を荒げ立ち上がった瞬間また目眩に襲われた。