バレた、と涼子は言った。

俺はキッチンに立っている涼子の背中を見た。

並べられたふたつのマグカップから白い湯気が立ちのぼる。

その水玉模様柄のマグカップは以前百円ショップで涼子と一緒に買ったものだ。

涼子は青色の片方を俺に差し出し、赤色のもう片方は涼子が口にした。


「バレたの」


と涼子はもう一度言った。

生唾を飲み込む。

口元が引きつっているのが自分でも分かった。