こんなことしてもあたしとクロは幸せになれない。

だったらもうやめたほうがいいんじゃないだろうか。

こんなことするよりもあたしとクロがやらなければならないことはもっと他に──。


「もし七瀬先生に俺たちのことがバレたらきっと嫌われるだろうな」


ぽつり、と呟いたクロの言葉にあたしは胸が痛んだ。

そうなんだ。

今やめたとしても結果は同じなんだ。


「俺たちのやってることって無意味なんじゃないかな」


そう言ってクロは深いため息を残した。

クロの言うとおり、確かに無意味。

あたしたちがどれだけ足掻いたって、藤木先生や七瀬先生は振り向いてくれない。

二人は結婚する。

あたしとクロの気持ちも知らずに、二人はこれからも幸せそうに笑うんだ。

そう思ったら、あたしの中で悔しさに似た感情が渦巻いた。

あたしたちがやってることは無意味。

でも。

どうせ結果は同じなら意味なんか求めても仕方がないんじゃないか。