驚いた。 またドンッ、という音。 鋭い目をしたクロがドアを何回も蹴っていた。 何回も。 何回も。 大きな音が響く度、あたしは目を閉じて耳を抑えた。 それから何分が過ぎたのだろうか。 落ち着きを取り戻したクロはドアを蹴ることを止めた。 「ここまでやりゃもう騒がないだろ」 そういってクロは下へ降りていく。 ドアの向こうは静かだった。 さっきまで叫んでいた七瀬先生の声はもう聞こえなかった。