「藤木先生。一昨日から七瀬先生休んでるけどどうしたの?」 クラスメートの一人の質問にあたしはどきりとしたが、藤木先生はなんなく答えていた。 「ああ、体調を崩したそうだ。ここのところ暑くなったり寒くなったり気温差が激しかったからな」 「寂しい?」 「ばーか。大人をからかうんじゃない」 藤木先生は笑っていたけれど内心はきっと気にかけているはずだった。 薬指に光る指輪。 どうして七瀬先生の薬指にあの指輪がなかったのだろう。 一昨日の夜二人の間に何があったのかあたしは気がかりで仕方なかった。