しばらくの間。 カクテルの入ったグラスをじっと見つめる武は何か考えている様子だった。 謝らなきゃ。 口を開こうとした時、武は席を立った。 「分かった。それが純子の出した答えなんだな。それならもう俺は何も言わない。潔く引き下がるよ」 目の前が真っ暗になった気がした。 まるで私と武の終わりを告げるように鈴の鳴る音が響いた。 「さようなら」 その言葉は私の頭の中で何度も何度もリピートして私の胸の中を強く強く締めつけた。