ああ、今。 できることなら逃げてしまいたい。 でもそんな事をしてしまったら彼を傷付けてしまう。 彼に誤解されてしまう。 私は彼と結婚したい。 大好きな彼となら一緒にやっていく自信はある。 でも。 「ごめん。武のことは好きだけど今は結婚する気になれないの」 それが私の答え。 武は豆鉄砲をくらったような顔をした。 きっと予想外のことだったのだろう。 みるみるうちに武の表情は歪んでいく。 「何で?」 武の声はいつになく険しかった。