学校帰り、あたしはコンビニに寄った。
風邪で休んだお見舞いにクロの大好きな桃の缶詰めを買ってやった。
いつものようにインターホンを鳴らしてから玄関から入る。
クロはあたしが来る時間になると鍵を開けておいてくれるはずなのに今日はどうしてか開いてなかった。
寝ているのだろうか。
あたしはもう一度インターホンを鳴らした。
するとカチャ、と音がして扉が開いた。
クロは眠たそうに目を擦っている。
「大丈夫?クロ。寝てた?」
「いや、平気」
あたしは顔色が優れないクロの額に手をやった。
「熱はないみたいだね」
「だから平気って言ったろ」
「これ、桃の缶詰め。クロ好きでしょ」
「ありがと」
「じゃ帰るね。ゆっくり寝てなよ」
「涼子」
え、と振り返るとクロが手招きしている。
あたしはクロの元に戻った。
「あのさ、涼子」
なんだかクロの様子がおかしい。
辺りをきょろきょろと見渡すクロは少し落ち着きがなかった。


