笑ってる場合なんかじゃないのにあたしはやっぱり先生の笑顔に弱い。 目の前にある大きな背中。 抱きしめて「好き」って言えたらどんなに楽なことか。 「好き」って叫べたらどんなに楽なことか。 「先生」 先生の茶色い瞳に情けない顔をしたあたしが映る。 「あたしとクロはただの幼なじみだよ」 伝われ。 伝われ。 あたしの気持ち。 「そっか」 そう言ったっきり先生は青い空と花を眺めていた。 伝われ。 伝われ。 あたしの想い。 でも先生は今も他の誰かを想ってる。 あたしの想いはずっと届かない。