act.16



あれから藤木先生と七瀬先生は事を公にせず、俺と涼子を罰することはしなかった。

公になれば俺たちの未来が閉ざされてしまうことを不憫に思ったのだろうか。

それとも気持ちに応えられなかった情けとしてなのだろうか。

どちらにせよ、失うものが大き過ぎた俺たちにとってそんなことは知る由もなかった。

何事もなかったかのように月日は流れ、俺と涼子はまるで魂を失った抜け殻のように過ごしていた。