「先生が嫌いだからに決まってんじゃん」

吐き捨てるように言うと、さらに歪んだ七瀬先生の顔を見てあたしの心はますます快感を得ていた。

それから思い出したように振り向く。

隣に立っていたクロは七瀬先生に合わせる顔がないのかずっと俯いていた。


「クロは先生のこと好きだったね」

「…涼子」


やっと顔を上げたクロの顔色はひどく真っ青だ。


「ほんとのことじゃん」


ずっと胸に閉じ込めていたこの気持ち。

あたしはこのまま引き下がることなんてできない。「七瀬先生」


「あたしね、藤木先生が好きなの。
だからあたしにとって先生は邪魔な存在でしかなかった。
そしてクロは、…あなたのことが好きだった。
ここまで言ったらわかるでしょ。
あたしたちは藤木先生とあなたの関係を壊したかったの。だからクロと一緒にあなたを閉じ込めた。
もうずっと一生、あなたを藤木先生に会わせなくてもいいように。
藤木先生があなたを忘れるように。
でも、無理だった。
藤木先生はずっとあなたのことばかり。
あたしのことなんかこれっぽっちも見てくれない。
それがどんなに惨めだったか分かる?」