「…篠田さん、どう…して、」


透き通ったそのブラウンの瞳はいつかの輝きは消え失せ、驚きや恐怖の色に支配されている。

久しぶりに見る七瀬先生の姿は痩せこけていた。


「驚いた?七瀬先生」


自分でも驚くほど、低い声が出た。


「あたしが先生のこと閉じ込めたんだよ、クロと一緒にね」


七瀬先生は狼狽えた。


「どうして…」


と何度も呟くように言った。


「どうして、って」


くっ、とあたしは鼻で笑う。


なんだろう。この妙な快感は。


七瀬先生はまるで信頼していた人に裏切られたような、絶望感に満ちた表情をしている。

あたしはずっとこの顔を見たかった。

一番憎んでいた人が苦しむ姿を見たかったのだ。