「涼子!」
あたしはクロを押しのけて二階へと駆け上がった。
部屋の前に来るとあたしは振り返って、キッチンから取り出したそれを強く握りしめた。
クロが目を丸くする。
「涼子。どういうつもりだ」
「これ以上入ったら刺すから」
「涼子」
「来ないでっ」
包丁を振りかざすあたしにクロはたじろいで唇をかすかに震わした。「正気かよ涼子…」
「こんなことしたって何の意味も持たないんだぞ!」
、、、、、、、、、
何の意味も持たない?
じゃああたしたちが今までしてきたことは?
それも意味がなかったってクロは言うの?
「ーーどうして」
声が掠れてうまく声が出ない。
「だって…あたしはなんのために」


