「まさかクロ。もうやめようなんて言わないよね。…じゃなきゃあたしはなんのために斎藤と」 「本当にそう?」 「え…」 ふいに遮られてあたしは言葉に詰まる。 クロはじっとあたしを見つめたかと思えば、すぐに目をそらし食卓の椅子に腰掛けた。 そしてついにあたしの嫌な予感は的中してしまうことになる。 「もうやめよう」 「…」 「涼子」 「…」 「俺、目が覚めたよ。こんなことしても無意味なんだって」 目の前が真っ暗になった。 胸の中に閉じ込めていた言葉があたしの心をじわじわと蝕んでいく。