「ごめん」
「謝るぐらいならなんでもっと気をつけなかったのよ」
「ごめん…」
クロは返す言葉がないのかただ謝るばかりだ。
「どうする」
「どうするもこうするも、そんなの自分で考えたら」
あたしは苛立ちをおさえるように爪を噛みしめた。
「クロはいつもそう。あたしに頼ってばかりでいつもあたしはクロの尻拭いをしなきゃならないんだから」
そこまで言ってからはっとした。
クロに目をやると、彼は笑っていたがその目は今にも泣きそうに見えた。
「そうだよな」
「あっごめん…。ちょっと言い過ぎた」
慌てて謝ると、クロは首を小さく左右に振った。
「涼子の言うとおりだよ。俺が悪かったんだ」
立ち上がってリビングに向かうクロの後を追うようにあたしも腰を上げる。


