ーーあなたは自分から望んでこんなことしたわけじゃないって。
七瀬先生が言っていたように俺は望んでいなかったのだろうか。
だけどあの時、七瀬先生に手錠をかけたのは俺だ。
七瀬先生を逃がしたくない。
藤木先生に渡したくない。
そんな思いが過ぎって…。
ーー涼子は狂ってるよ。
ははっ、と俺は自嘲した。
ばかだ。
俺はばかだ。
やっと気付いてしまった。
あれは。
あの言葉は涼子に向けたものじゃない。
俺自身に問いかけていたんだ。
俺が、狂っているんだってことを。
そうだ。
俺も狂ってるんだ。
涼子も、
俺も。


